us 感想(ネタバレがあります)

総評
前作ゲット・アウトからより怖さのスケールを上げてきて、みおわった後に気まずい思いで劇場を後にする羽目になる
隅々まで意味のある寓意に満ちていて、ホラーというよりはちょっと怖いお伽噺みたいな仕上がりだった
キャストのそれぞれ2役を演じ分けているのが本当にスゴい、ルピタ・ニョンゴさんはもちろん、子役にあれだけ役をつけられるのはジョーダン・ピール恐るべしである...
自分が今の暮らしをしているのはどこかの誰かの犠牲によって成り立っているのかもしれない、となんともいえない罪悪感に似た感情が湧いてくる
アメリカ(タイトルの us には United States の意味も含まれているのだろう)だと貧困層や移民なのかもしれないし、我ら日本でいうと目につく範囲だとコンビニで働く外国人労働者など...
もしくは、私は男性なので女性に比べると不当に利益を得ているのではないか、など
(書こう書こうとおもっているうちに時間が経ってしまったので少し記憶が薄れているかも)

良かったところ
序盤にどんどんイヤ〜なことが重なっていくところ、そして外に「私たち」が立ってるところはマジに怖かった
持てる者と持たざる者の映画の時はだいたい持たざる者に感情移入してみるような映画が多い中、本作は持てる者の土台が如何に危ういものなのか、持たざる者によっていとも簡単に破壊されてしまうものなのだな、という恐怖
随所に笑いのネタが仕込まれていて、面白い怖いの振り子が絶妙なタイミングで振られて感情が増幅していくのは前作同様にウマい

気になったところ
前作も種明かしがされると「はぁ、なるほどね」ってなりつつ若干無理ないか...?みたいになる作品だったけれど、本作はそれに増して「うーん?」ってなっちゃうかも
テザードの説明のくだりがアッサリしすぎてて1回みただけだと飲み込めない感じもする
最後まで分からなかったのがテザードニョンゴがニョンゴ一家に何をしたかったのか、というところ
ラストでニョンゴが実は入れ替わっていたことが明かされ、そこから見ると持たざる者から持てる者へ駒を進められた人が虐げてきた相手に復讐される、という話なんだろうとはおもうけど
白人一家はあっさりと惨殺するのに...