Batushka(バトゥシュカ)


2015年の冬、突如としてブラックメタル界に現れたスリーピースバンド。
当初はロシア出身という噂もあったものの、ポーランドの東部ビャウィストク出身。Христофор(Krzysztof Drabikowski)という男性を中心に結成された。バンド創設当初は、作曲からギター、ベースの演奏、アートワークの制作、レコーディング関連はすべて彼が一人で行っていた。また、ボーカルとして同じくビャウィストク出身のВарфоломей(Bartłomiej Krysiuk)が加わる。彼はレーベルWitching Hour Productionsの経営者であり、Hermhというシンフォニック・ブラックメタルバンドでも活動しており、ポーランドでは名の知れた人物だ。そのため、まだ彼らの身元が明かされていなかった初期の頃、「有名バンドのメンバーが在籍している」という噂が流れた。

バンド名のBatushkaはロシア語で”父”(お父さんではなく宗教的な意味の父)を意味し、広義的には正教会の司祭の称号を指す。バンド名発音は「バトゥシュカ」が一番現地(ポーランドでの)読みに近いかもしれない。しかし、ロシア語に忠実に発音するならば「バーチュシカ」。彼らは、神父のようなコスチュームを身にまとい、聖歌を感じさせるような神聖なコーラスを多用しているせいか、「クリスチャン・ブラックメタル」とジャンル分けされることもある。しかし、単に宗教や東方教会からインスピレーションを受けているだけで、特にクリスチャン・ブラックメタルではないようだ。むしろ、よく衣装のデザインなどを見ると、東方教会の十字架が逆さになっているのが分かる。

2018年の12月末日、創設者であるХристофорが、バンドを乗っ取られたという動画をYouTube上で公開。バンドのSNSにログインできなくなり、Варфоломейが自分抜きで勝手に新作の制作を始めてしまったという。

Христофорはバンドを取り返すべく、弁護士を雇い、Варфоломейが自分の許可なしに音源を使用したりライブを行うことを禁止させるという内容の裁判を申し立てようとしたが、却下された。

Batushkaがここまでの人気を得るようになったのは、実はВарфоломейのおかげでもあるそうだ。Batushka結成当初、Христофорはスタジオアルバムさえ作れれば良いと考えており、ライブなどを行う予定は無かったという。しかし、レーベル経営などでビジネスのノウハウをある程度心得ているВарфоломейが、衣装をデザインし、ライブをブッキングし、精力的に全世界で公演を行うようになった。実際に、毎回新作が出る度に魅力的なラインナップでファンを喜ばせるBatushkaのマーチを担当しているのもВарфоломейだ。

現在、Batushkaは2つのバンドに分かれてしまった。ひとつが、創設者ХристофорのБатюшка(もう一方のBatushkaとの差別化をはかるためか、分裂当初はバンド名がキリル文字表記になっていたが、現在は双方ともキリル文字を使っているため区別がつきにくい)、そしてもうひとつはВарфоломейが中心になって活動するBatushkaだ。
ワロタ、どっちか名前変えろよ