進撃の巨人 完結編 後編 感想 (ネタバレあり)
なんか CM で後夜祭やんぞ!!みたいなテンションだったけど、いやこのオチでどう盛り上がれって言うんだよ....って感じだった
序盤では壁内にしか人類がいないとミスリードされていた時は、
フルメタル・ジャケットチックなモンスターもの、みたいなテンションだったけど、壁外にマーレが存在し、自分たちはエルディアだった....と明かされるあたりで明らかに
ユダヤの迫害のメタファーだ!!と勘付いたし、マーレ内のエルディア人収容区の描写は明らかに
ゲットーだったのでその勘付きは確信に変わったものだが、こんなむちゃくちゃ重いテーマを持ち出してきて、どう落とし前つけるんだろう?というのはずっと気になっていたことだったが、まさかこの完結編後編の封切り前に元ネタの歴史の方が火を吹いちまって、なおさらフィクションとしてどう落とし前をつけてくれるんだろう??という否応ない期待が高まっていた
まあその、これの難しいところは
ホロコーストの頃は迫害されている側だったわけだが、今現在はどっから見るかによるだろうけど、自分からは迫害する側に回っているように見え、マーレの軍人がエルディアの民に向かって銃口を向けているシーンが、イスラエル兵が
ハマス(巨人)に恐怖しガザに爆撃をしている画に重なって見えた
結論としては本当に救いのない終わり方で、
リヴァイの回想には本当に弱くて、
エルヴィン、
ハンジ、たくさんの人に託されて、己の強さが故に生き残っちまったリヴァイの最後の姿はかなりグッとくるものがあったが、メインの
エレン、
ミカサ、
アルミンの3人の友情はズタズタに引き裂かれて、ミカサに止めを刺させて、アルミンを
ダークナイトの
バットマンよろしく持ち上げて死んでいったエレン....と、どこかでどうにかできなかったんだろうか....とただただ悲しい
エレンはミカサによって密かにパラディ島に埋葬されたわけだが、エンディングの早回しで結局生き残った人類も発展の先には流血しかないんだとでも言うような、虚無主義的な映像でなんだかなあ....と
そういえば、1話ってこっからはじまってなかったっけ....?とおもって1話に戻ってみたら幼エレンがハッ!!と目覚めるとこからはじまってて、なんか円環構造みたいだなとおもった
汲むところがあるとすれば、砂漠でごちていた
ジークとアルミンが対話するシーンで、結局どんだけ技術や文化を発展させていったところで、生命の源流的な「増える」という行動原理に衝き動かされているだけじゃないか、というジークにアルミンが「人生にはそうじゃない瞬間も必ずあって、その一瞬のために生まれたって思えることあるよ」って言って聞かせるところで、まあ一理ある気もするけど、うーん、どうなんだろう
消されていた記憶のエレンとの対話シーンで、エレンを外に衝き動かしたのはアルミンでもあるって話をしてて、
好奇心は猫をも殺すってのはこのことだなあ、とおもったりした
まあもしエレンがアルミンと出会っていなくて、ミカサと朴訥に暮らしていたとしても、マーレからのアプローチがされてきてる中、壁の中で生き長らえられてたのか怪しいとこではあるが...
最後はパラディ島との交渉に向かう一行で終わるのだが、エンディングからして結局望んだものにはならなかったんだろうと、悲観的な気持ちになるが、逆に考えると今血みどろの戦場となっている地でも、そうした平和....というと安直だが、分かり合うことそのもの?を希求し続けた人々もいたんだろうなあ、と想像すると、今の惨状がよりキツく感じられる