砂の女 クライマックス

砂の女 クライマックス
100分de名著砂の女のシリーズがあっという間に終わってしまった
伊集院さんの興奮も伝わってくるのもあってか、久しぶりに毎週放映が待ちきれない題材だった
男は完全にメカニクスに取り込まれてしまって、でもそれでいて穴の中でも知的好奇心を持って暮らしていければ実はこれは幸せなことなんだとも受け取れるし、一方でそれまで非常に嫌悪していた村のコミュニティであったり女だったりに完全に順応していく様は、例えばナチスに対してえーって思っていた人が順応せざるを得なくなったのか望んで順応していったのか、ソビエト共産主義を望んでいなかったのに順応せざるを得なかったのか、望んで順応していったのか....などなどを思い起こさせる
実際のところは十把一絡げに語れる話ではないとおもうが
翻って自分で考えてみても、例えばちょうど今ありとあらゆる機関から税の取り立てがきて中指を立てながら渋々払っているわけだけど、それは当然望んでこの国にいるわけでもないからムカつくのであって、たまたまその時その場所で生まれてしまったのでいるだけなんであって、そういう意味では穴の中で暮らしているようなものでもあったりするのだ
男は縄梯子というツールにすがれるチャンスはそうなかったわけだけど、最後に縄梯子を登って海を拝んでから、穴で研究をするために戻っていく様は、なんだか親しささえ感じる
縄梯子はここではないどこかへの扉なんだろうけど、ここではないどこかってのは本当にここではないどこかってだけで、穴から出てまで行きたいどこかは今までの人生で正直なかった
そして穴では砂をかかないといけないわけで、心を無にして参院選の期日前投票に行ったりとか、クソみたいな仕事したりとか、砂をかいているのだ
多少マシな穴でヨッコラショで暮らしているだけ
でも穴ん中で暮らすだけじゃつまらんから、水が湧く研究でもするかあ!みたいなのすごいわかる
女っていうモチーフもめっちゃ怖くて、アァ!!って性的な欲求願望に飲まれてしまうのが本当に怖い
直近でもチンコに負けた国会議員がいたけど、この明らかに男性優位な社会でその欲というのが加害的というか、容易に他人を傷つけうるというのが怖い
一方で、寝た後は「まあ植木鉢でも...」と完全に女に手玉に取られているのもまた怖い
この話は本当に多層的な結末で、ミッドサマーみたいだとおもった
主人公が散々なめに遭って、ある種の社会的なカタストロフィを迎えるけど、本人にとっては実はそれが救いになっていたという
独自の風習のコミュニティに見物気分で覗いてみたら、蟻地獄のようにそのコミュニティに囚われてしまうってのも似てる
最近みたボバ・フェットも近しい話だったけど、タスケンと心を通わせられてよかったデス!!みたいなノリだったのでちょっと違うか