病葉草紙 感想 (ネタバレあり)
そういえば、
京極夏彦の作品でここまで安楽椅子探偵型のキャラクターっていなかったか!?とおもったりした
狐花にしても
了巷説百物語にしてもそこそこ血腥い描写がそこそこあったので、事の起こりもだいたい語り手である長屋の大家・藤介の又聞きからはじまって、そっから
前巷説百物語(もう10年以上前なんだなァ… )にも登場する
久瀬棠庵と問答するうちに、だいたい起きていることを悟った久瀬が適材適所に人を差配して一件落着させる〜というのがだいたいの流れ
しかしまあ、藤介とはいいコンビに見えたので、しゃーなしではあるけどいずれ袂を分かつことになるのかなとおもうとやや寂しい気はする
藤介は完全にワトソン君だったよなあ
久瀬のスタイルは、後代の化物使いたちと似たもので、モメがあった時にそれらしい本草学の虫を例示して、こういう虫ですよ…ということにして丸く収める、というもの
とはいえ、最終話がまさにそうだったけど、結局のところ久瀬のスタイルが通用しないパターンもあり得るし、虫として祓うというのはさらに後代の憑き物落としスタイルの原型という感じもする
病葉(わくらば)という言葉ははじめて読んだのだが、虫食い状態の葉のことをいうらしい
久世と藤介で2人とも、心が病葉なんだと語られるが、人間誰しもそういうフシはあるよねっていう気にはなった
私の心も病葉なんだけども、妻をはじめとするいろいろな人たちの助力.....物理的ではない長屋コミュニティみたいなモノに大いに助けられてきたのかな、というのは少しおもった
長屋の面々がイキイキと語られるのは良かったなあ