新鮮な画はあるものの...新感染 - diary.jgs.me

予告の時点で100点だったので初日に新感染みてきた。ゾンビものの最近の傑作良作のツボをしっかりとおさえていて良かったものの、昨年公開の「アイアムアヒーロー」とついつい比較して「ここがな〜」というところも多々ある映画だった。
この映画の白眉は電車の窓越しにゾンビがワラワラと群がってきて、しかもガラスを重量で突き破って侵入してくるあたりのなんとも言えない怖さだとおもう。終盤に動力車にズルズルと群がってくるのもなかなか。
物語的にはファンドマネージャーをしている主人公のダメ親父(誕生日プレゼントに以前贈った Wii U をまたプレゼントするくだりは端的にダメっぷりが表現できていて笑った)が、他人を犠牲にしてでも自分たちは生き残るぞ、という考えでいたのを娘や周囲の人々によって最後には自己犠牲という、自分を犠牲にしてでも他人を助けるという極致に至るというグッとくるお話。
登場人物たちもそれぞれに(若干ステレオタイプすぎる気はするが…)味があって良い。主人公に自己犠牲の尊さを諭すオッサンも、オッサン自体はちょっとイヤ〜なヤツだったりするあたりは面白い。そしてラスボスにもなるバス会社の常務は徹頭徹尾ヤなヤツ(ミストの宗教ババアを連想した)なのだが、全体を通して見終えると実は主人公の鏡写しのキャラクターだったりするわけで、最後の戦いは主人公にとっては過去の自分との戦いでもあったりするのが面白い。
近年のゾンビ映画で特に大事なのは「日常があれよあれよという間に崩れていく」のが、スムーズかつ絶望的に描かれるかどうかだと「アイアムアヒーロー」でおもったし、先日ゾンビオールナイトでみた作品群でもおもった。その点、この作品は予告にも登場するピンぼけした電車の窓の外で人が襲われているっていうさりげない綻びから、車内に1人感染者が紛れ込んでどんどん侵食されてしまうというあたり、よく研究されているな〜と感心した。ゾンビ映画お約束のさっきまで仲の良かった人と戦わなくてはならないくだりだったり、最愛の人が感染してしまい、為す術なく自らも感染してしまったりと、よく出来ていたとおもう。

September 3rd, 2017 12:06pm