平成ガメラシリーズ - diary.jgs.me

ついさっき3作目の「イリス覚醒」をみてきて、あまりにビールがうまそうだったのでカシュッとしながら書いている。
自分は特撮原体験ウルトラシリーズで、昭和ウルトラビデオを何回もみた後にウルトラマンティガで覚醒したタイプの平成生まれで、ゴジラガメラの類は青春時代に全く触れてこないで育ってきた。なんでかはよく分からない。父親偏向教育だろうか。(仮面ライダー戦隊ヒーローも平成のシリーズは何作もみている)
ゴジラシリーズはエメリッヒ版ゴジラが最初で、その後オリジナルのゴジラ、ギャレス・エドワーズ版というその道の人からしてみたら首を傾げるような見方をしている。ちなみに、この中だとギャレス版が一番好きだ。オリジナルのゴジラは名画座でみる機会があったのだが、がっかりしたというのが正直なところだった。確かに特撮シーンは当時の技術としては目を見張るものだったろうが、人間のパートがなかなか分量が多いし暗いし退屈だった。
そんなわけで、ガメラに至ってはゴジラのパチモンぐらいにしかおもってなくてこれまで全くみてなかった。(モスラも同じく…)が、長らくの友人に平成ガメラシリーズを激推しされて興味を持っていたところに4K修復版が劇場で公開されるとのことで2と3をみてきた(1作目は公開期間中に東京にいなくて行けなかった…)。
チケットをとってから、一応昭和ガメラシリーズも予習しておくか、と思い立って Amazonプライムビデオで1作目のガメラと2作目の対バルゴン、3作目の対ギャオスまで予習できた。1作目は豪快な設定と豪快な作戦で走りきるスタイルでシリアスだったゴジラと違ってだいぶ楽しめた。1作目の白眉はなんといっても登場シーンで、氷山からヌッとガメラのあのツラが姿を現すシーンは掴みとしては最高の出来だった。2作目では敵のバルゴンが登場するまでになかなか人間の悶着があって、前作の豪快っぷりとは打って変わって面白かった。それでも最後はオモシロ作戦でガメラと共闘して仕留めるのは引き継いでいる。3作目ではギャオスが登場するが、3作目は2作目のバランスとまた違って子供の冒険活劇が一定のウェイトを占めているので賛否は分かれる気がした。
さて、このギャオスが敵怪獣として登場するのが平成ガメラ1作目で、ガメラ、ギャオス共に昭和版とは違ってきっちり設定として名前やロールが与えられているので入り込みやすかった。そして平成ガメラシリーズの一番よかったところはミリタリーをちゃんとやってるところで、陸海空の自衛隊がバッチリ協力しているお陰か怪獣たちをなんとか迎撃せんとする人類日本人をキッチリ描いているのがとてもリアルで好感がもてた。もうすぐ公開のシン・ゴジラも予告をみる限りではこの路線を踏襲しているような気がする。
あと1作目で驚くのは主人公格の中山忍さんの美しさで、その凛とした佇まいになんとも説得力があって鳥類学者ながら事件に切り込んでいくというキャラクターに馴染んでいた。また、ゴジラの巫女役の藤谷文子はエスニックな顔立ちで(セガールの娘さんだったのね!)昭和2作目に出演している江波杏子さんを思わず連想した(怪獣とつながってる/詳しい的な)。
2作目はデカい怪獣だけだった前作と違って、人間大の小型の怪獣も出てくるし、デカい植物は出てくるし、デカい怪獣は出てくるしと盛りだくさんだった。何よりも友人が「平成特撮史上最高シーン」と評する「ガメラがスライディング着地しながら火球を吐く」シーンは本当にアツくて、あまりのカッコよさに泣いた。2は1度みて大好きになってしまう魔力があって、巨大なレギオンが防衛線を突破して首都圏を襲撃するのを自衛隊とガメラで最後には協力して止める展開は分かりやすいしアガるし素晴らしい出来だった(エヴァっぽいとおもったけどどっちが先だろ?)。
巨大レギオンのギミックがカッコよくて、ずんぐりしたガメラと違ってスタイリッシュで、ビーム射撃シーンもカッコいい。ヒーローモノでアガるシーンは何かといえば、敵に敗れてボロボロになっているヒーローを俺たちが声援を送ってそれがヒーローに届いてヒーローが再起するシーンであると言っても過言ではない。ウルトラマンティガ最終話でティガが復活するシーンとか。ガメラ2作目でもこのシーンがあって、ガメラが休眠状態っぽいところからガラガラ…と復活するシーンはむっちゃアガる。
2作目は人間たちもガンバってて、吹越満さん(ガメラ出てたんだ!)扮するオタクが知恵を働かせて小型レギオンを一網打尽にしたり、そこに自衛官の人が助太刀に入ったり。そうしてある種の人智を超えた共闘関係の相手であるガメラの英雄的行動に対して、自衛官たちが自然とパラパラと(ここが重要、映画だと割とみんなビシッと敬礼しちゃったりするんだが、そうじゃない)敬礼が溢れるのが涙なくしてはみていられなかった。言葉が通じなくても、行為で、背中(甲羅)で語ることができるのだ。
最後に3作目だが、これは Batman v Superman を友人とみにいったときに「これはザック・スナイダー絶対ガメラ3みてる」って力説してたので、まずはそこを楽しみにみにいった。すると本当に Dawn of Justice の冒頭の展開そのままで驚いた。と、冒頭の展開は結構良かったんだが、その後の展開は結構とっ散らかっていて、青龍白虎玄武朱雀だなんだ、マナなんだかんだの下りは全く回収されないままだったし、誘拐したネーチャンと謎のゲームプログラマはなんだったんだって感じだし、ちょっとウーンなクオリティの CG を(それでも特撮パートとうまくつなげてたとおもう)ふんだんに使っていたり、終盤があまりにもご都合主義的だったり(冒頭であんなにあっけなく両親が死んでいるだけに、ガメラは自分に好意的な人間は優先的に守るように見られても仕方ない)と2で高まった期待を裏切られるような1本だった…。
せっかく面白いテーマ設定しているんだから、ガメラに敵対し人間に与する人間大の宇宙人が実は人類を精神侵略していた的な話にするとかもう少しやりようはあったのではなかろうか…。
長々と書いてきたが、総じて面白くて青春時代にみてこなかったことを後悔した。特に平成2作目に関しては特撮史上の傑作といってもいい素晴らしい出来だった。
今年は邦画が非常に豊作で、スポ根だと「ちはやふるバイオレンスだと「アイアムアヒーロー」「ヒメアノ~ル」といった具合だ。ここに特撮ジャンルでもこのレベルの傑作が登場してほしいと願わざるを得ない。果たして「シン・ゴジラ」は如何に…。

July 20th, 2016 3:04am