ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 感想(ネタバレがあります)

総評
ジャンゴ繋がれざる者イングロリアス・バスターズに連なるオチ、というだけでネタバレになるけど、これをみにくる人なら恐らく知っているであろうシャロン・テートさんの最期に向けてカウントダウンされていくので否が応でも緊張感は高まっていくのだけど、それをブラピがバキバキのアクションでクソヒッピー連中をバキバキに痛めつけてくれて、イングロリアス・バスターズよろしくまたナパームで焼くエクスプロイテーション映画的な快楽
自分が生まれるはるか前のはるか遠くの場所なのに、なんともいえない郷愁みたいな想いがこみ上げてくる
タランティーノの愛がひしひしと伝わってくるというか

良かったところ
ディカプリオブラピのコンビは本当に最高!!ずっとみていたい!!
マーゴット・ロビー扮するシャロン・テートもえもいえぬオーラというかファム・ファタールというか
今年みたスパイク・リーの「ブラッククランズマン」を連想してしまうようなメタ感のある映画
ただ、ブラッククランズマンは最後のくだりの後に後味悪いやつがついてた一方でタランティーノは歴史を捻じ曲げてでも愛おしさに浸っていよう、フィクションでは夢みようやん...?というようなスッキリとした気持ちで劇場を後にできた(上映時間が長くてかつ上映前ギリギリに着いてしまったので整ってない状態で臨んでしまったので、久々にトイレに急いだとも言う)
ブラピがしつこくしつこく顔面を叩きつける!強そうな犬がガブーッ!ワンワン!ガウーッ!
ガラスを突き破ってヒッピーガールが飛び出してくるところは腹を抱えて笑った
またナパームかよ!どんだけ好きなんだ!!

アトロクのインタビューを聴いたりパンフを読んで
シャロン・テートが劇中で自分の映画をみるくだりは「本物の」シャロン・テートをみる「作り物の」シャロン・テートをみる我々というねじれたアングルが面白いよね、って言っていて確かに、とおもった
実際シャロン・テートさんというと、作品は1本もみたことがなくて惨劇に遭った人、というラベルだけでしか知らなかった
これを機に吸血鬼とか哀愁の花びらThe Wrecking Crewとかみてみたくなった
劇中劇のシャロン・テートに現代の観客が笑わされるというのは、やはり役者というのはフィルムの上で生き続けているんだなあ、と最近どんどんいなくなっていってしまう人たちのことに想いを馳せてしまった
過去の作品と比べてもお話の起伏が平板(特に前作のヘイトフル・エイトと比べたりすると)なのは、どのキャラクターにもしっかり惹きつける力があったので、半ば意図的にラストに向けて人間たちによる人間の様子が2時間半もつということなのだろう
スパーン映画牧場の部分はクリフは事情を知らないが、我々は知っているという非対称性があって、故に怖いのだが、終わってみるとマンソン・ファミリーを描く映画ではなかったのでアッサリしていた
正直、あんまり事情に詳しくない人がみたらさっぱり分からん映画なんでは?とは思うが、監督は「レビューみたり、ちょっとググればすぐ分かるっしょ!」みたいなあっけらかんとしたテンションでよかった
タランティーノは自分の好きなモノを現代にチューニングしてミックスするのが得意なDJなのかも

その他
予告編で唯一ホアキンジョーカーがデカいサイズで予告をやっていてテンションが上がった
最後にデカい DC のロゴがバーンて出るし