マンハッタン・ビーチ 感想
この前みた
パラサイトもいろんなジャンルを縦横無尽に駆け巡るようだったけど、この
マンハッタン・ビーチもいろんなジャンルをミックスさせたような、分厚さに相応しい内容だった
歴史小説として
とにかくすごいのは、大恐慌後の戦前〜戦後らへんの東海岸の雰囲気が情景として立ち上がってくるところ
筆者は現役の方ですか?というぐらいだったんだけど、あとがきを読むとリサーチをめっちゃやったらしい...すごいな....
いろいろ参考文献があがってたけど、公文書っぽいのも入ってた気がするので公文書を残しておくのは大事
女性のエンパワメントとして
特にデクスター・スタイルズを通してみるこの時代はイチ市民だったアナやエディと比べてまた違ったものにみえる
暗黒街からカタギへ戻ろうとするデクスターの渇望はギャング映画みたいだった
戦艦というか、商船なので戦うわけではないけど
Uボートに襲撃される戦艦の創作物は結構あるけど、商船はそんなにない(?)
注釈などがあると助かったとおもうのだが、既に分厚いしさすがにムズいか
現代
ダイビングにはそこそこ詳しいけれど、この時代の潜水は素人なので「こんなだったのか〜」と学びがあった
遭難ものとして
遭難パートはキツかった...ハラハラした
ミステリーとして
父の失踪という大きなピースがあるので、成長したアナがデクスターに近づいたりするくだりなど素直に楽しめた
アナがデクスターと潜水して父の死を確信したあとあたりからエディの商船ライフがはじまるあたりビビる
そして、エディを消した様子をフラッシュバックしながら退場するデクスター...
アナの気持ちの揺れ動きが激しくて、時々どっかいっちゃって「あれれ...」となるけど、なんだかんだで手元に戻ってきてくれるような感じで最後まで伴走できた
中絶のくだりは読みながら気を失いそうなくらいリアルで怖かった...