マッド・マックス: フュリオサ 感想 (ネタバレあり)

マッド・マックス: フュリオサ 感想 (ネタバレあり)
前作にあたる Fury Roadオールタイム・ベストでもあり、10年代・ベスト映画でもあり、非常に思い入れの深い映画なので、正直この作品に連なる映画をジョージ・ミラー御大が撮っていただけるというだけでありがたいことではあるのだが、とはいえ Fury Road はオリジナル3部作の風味は残しつつ全く新しいマッドマックスを提示してくれたから、こんなに気に入ってるんじゃないかなあ、とおもってしまう
前日譚のコミックも読んで面白かったし、ゲームは途中から作業ゲー感出てきて微妙だったけど、とはいえアノ世界に没入する体験はなかなか良かった
確かフュリオサの物語はアニメにするって話があったような?とおもっていたらやっぱりそうだったらしいことがパンフに書いてあった
というか前田真宏版マッドマックスみたかったな...
前田さん監督ってことはカラー版マッドマックスがある世界線があったってコト....!?
カラー版もみてみたいけどトリガー版もみたいなあ
トリガー版だったらジョーが主人公でアポカリプティックになっていく世界の中、武器将軍人喰い男爵たちと出会ってチームアップしてシタデルを運営するまでに至るスカーフェイスみたいなハナシでやってほしいな
ていうかそれはまんまコミック版前日譚か...
Fury Road をカノンとして、外典は実写映画ではないフォーマットで製作されてほしいな〜という気持ちが結構あった
鑑賞後の感想は「なんかコレキル・ビル Vol.2だったな...」だった
前作のエッセンスを残しつつ、話のケリをしっとりつけようとする感じ....かな?
一応トム・ハーディの続編も予定してるらしいけど、全然違うテイストでやってほしいな
アニャ・テイラー=ジョイシャーリーズ・セロンが作り上げたフュリオサというキャラクターをきっちりと継承していたし、クリス・ヘムズワースは予告では正直どうなんだろう?とちょっと不安だったんだけど本編をみたらイイ仕事をしてくれたなあ、と感激した
予告でクリヘムってこんな声だったっけ?っておもってたんだけど、パンフによるとソーから離れるために発声を悩んでいたらしい
こういうところがクリヘムちゃんとしててイイなあと
一度ハマり役をやってしまうとずっとソレになっちゃう問題を自覚しているのだなあ
カモメの鳴き声と祖父の声を参考にディメンタスというキャラクターを作り上げたらしい
パンフでクリヘムは出番じゃなくても現場を見守っていたらしく「メル・ギブソンもそうだったんだよ」と持ち上げるミラー、いい人たちだ...
話の構造として、Fury Road の展開を知ってるわけなのでフュリオサがいかに故郷に帰らんとしてたとしても帰れずにシタデルで暮らしているのは確定しているので、話の盛り上げをどうすんのかなあ?と懸念していたし、ライバルとしてクリヘムが出てくる予告をみてから尚じゃあそれは Fury Road でイモータン・ジョーにするソレとカブっちゃわね?とおもった
結局 Fury Road でイモータンには「かつてお前が妻として迎えようとした人間だぞ」ということを明かし、本作ではクリヘムに「かつてお前がなぶり殺した女の娘だぞ」ということを明かして殺すという
ん〜、まあ両方ともわからいでもないが、特に後者の方はかなりいたぶって殺しているので執着がありすぎる感じがする
というか、イモータンには焼印を入れられてるし許せねえ気持ちもわかるけど、ディメンタスの仕打ちに比べるとイモータンにそこまでする?という気にさえなってしまう
役者でいうとフュリオサの母を演じたチャーリー・フレイザーもすごい説得力があって良かった
娘の一大事にダッと駆けていくシーンだけで「ああ...」と
在りし日の鉄馬の女たちを体現していた
あとは子役のアリーラ・ブラウンもどこで切り替わったのか分からないぐらいソックリでびっくりした
最初はもしかしたらスター・ウォーズでやってるみたいなモーキャプでアニャの顔を嵌めてるのか....?? とおもったぐらい
何気に Fury Road からもう10年が経とうとしているって事実にびびるが、パンデミックも挟んだせいか、単に技術が進歩しているという話なのか、アクションシーンが明らかに CG っぽいシーンがいくつかあって、そこは結構冷めた
Fury Road が Fury Road なのはやっぱり偏執的にアクションをちゃんと撮影しているからこそだとおもってるし
ここはシン・仮面ライダーを連想した、同じバイクアクションだし
若きフュリオサに助け舟を出してくれるジャックはまんまマックスで、そこもなんかこう新味がないなあと感じるあたり
これみよがしにソードオフのショットガンを贈ってくれるあたりはシリーズファンとしてはついついアガってしまうわけだけども
中盤あたりでリクタスの部屋にフュリオサが拉致されるシーンがあるが、リクタスの部屋がめちゃくちゃ気持ち悪くて、リクタスの無邪気さが垣間見えて、今の行動も全て予測がつく感じが本当に最悪だった(褒めてる)
そこで機転を利かせたことが警備隊長に昇り詰める布石になるわけだが...
クリヘム演じるディメンタスもクリヘム自身の狂気性が乗り移っててナイス人選....!!
エンドロールヒュー・キース・バーンへの哀悼があって「そうだった....RIP....」と改めて祈った
ところで、最近アーケインの感想にも書いたけどどうして男たちは因縁のある子供を育ててしまうのかね?
ディメンタスはギリ「健康そうな子供」がもう貴重な時代だから....ってことな気がせんでもないが、それにしてもそんな禍根を残すようなことをしなけりゃいいのに...
ウォーリグを巡ってのカーチェイスシーンは新たな試みとしてタンク側に回転モーニングスターみたいな武器がついてたり、襲撃する側が飛んできたりとがんばってるとはおもうが、どうしても二番煎じに見えてしまったなあ...
まあもちろん Fury Road でも「これマッドマックス2じゃん」とはおもったけど、あまりにブラッシュアップされててサイコーだったのだな...
バレットファームのシーケンスはなかなか良かった、マッドマックスだった
あとは前日譚コミックでも登場してたガスタウンバレットファームがそこそこしっかり実写として出てきたのは結構良かった
人喰い男爵が相変わらず乳首イジってたのも良かったナ...
オチはヒストリーマン?の語りなのもあって、やや抽象的な見せ方なのかなあ、ともおもうが蛇足に感じた
個人的にはジョーの妻たちを誘拐するくだりだけでよかったかな...
エンドロールで Fury Road の回想シーンが流れるのも、本作をみてから Fury Road を見返したら結構くるものがあるだろうな〜、帰ったらちょっとみよ〜...とおもってたとこに挿し込まれてきて、うんまあ、ありがたいんだけどそこは独立した作品としてドロップしてくれよォ!いらんサービス〜〜と下がった
別人組が「別人じゃん!」になるじゃんね
あとどうしてもインターセプター号を出したかったのか、マックスらしき風貌の引きの画が出てくるが、それも別にいらねェよ〜〜
ウェイストランドが狭く感じるじゃん...
イワオニ族が出てくるのは良かった、ナイスサービス
出役をはじめ、作り手の皆さんの心意気は感じるし、そこいらの映画に比べたらそりゃもう面白いわけだけどやはり超えるべき山が高すぎる(もっともジョージ・ミラーはそもそも超えようとしていたわけではないのかもしれないが)し、そのために Fury Road のスピンオフでってのはちょっとセットアップがよくないよねぇ...