ホームカミングのもやもや感 - diary.jgs.me

スパイダーマン: ホームカミングはとても楽しみにしていたし、2時間なんだかんだ爆笑しながら楽しめたんだけど、終わってみるとだんだんもやもや感が出てきてしまった。アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジでは全く別人のようで驚いたが)のアメスパシリーズが好きすぎる贔屓目もあるけど、やっぱりホームカミングは手放しで褒められない自分がいる。
まず最初になんだかな〜なのが、さすがに MCU の16作目ということもあってもう完全に一見さんお断りの内容になっている上に、スパイディのオリジンすら描かれず一応ピーターの成長譚っぽく仕上げてるけどストーリー的にそれでいいのか?というところ。アヴェンジャーズエイジ・オブ・ウルトロンシビル・ウォーあたりは押さえてないと前提となる世界観が初見だと分からないとおもう。思い切って切り捨ててるのかもしれないけど…。
スパイディ視点のシビル・ウォー・フッテージっていうアイデアは面白かったけど、それよりはスパイディのオリジンをちゃんと描いた方が良かったのではなかろうか…。
そんな中、ヴァルチャー(そしていぶし銀のマイケル・キートン!!なんならマイケル・キートンの出演作の中で一番カッコいいのでは?)がカッコよすぎてもっているような印象。ヴァルチャーはアヴェンジャーズの大暴れした後の後片付けを引き受けたのに、トニーに強権的に仕事を強奪されて、家族や社員(?)を守るために悪事に手を染めてしまうわけなんだけど、こういうお父さんにはとても共感できるし、そうやってギリギリでやりくりしてるところに、承認欲求と自分の陳腐な正義を振りかざして妨害してくるスパイディという構図はもはやどっちがヴィランなのか分からないほど。
そしてヴァルチャーのカッコよさはアイアンマンのカッコよさの源泉と通底していて、DIY で生身の人間がスーツアップする点にある。ここでも、一方のスパイディはメタヒューマンな上にアイアンマン師匠に授けてもらったスーツを着るんだから温泉対応すぎる。よってヴァルチャーを応援したくなってしまう。ヴァルチャーのスーツファルコンのそれと違ってカッコいいし。
白眉はホームカミング(プロムみたいなやつなのかな?カルチャーがよく分からず)にピーターと(ヴァルチャーの)娘のリズ(カワイイ!!)を車で送迎するシーンで「娘の命を救ってくれた恩があるから今日のところは見逃しておいてやる」っていう義理堅いところ(ラストの刑務所でもちゃんと義理は通すしね!!)。
オレだったらトニーにあんな仕打ちを受けているわけだし「今まで妨害しちゃってすいません、なんなら手伝うんでトニーの野郎をやっちまいましょう!」って言っちゃいそう。
そんでまあ、またピーターの正義感からホームカミングを抜け出してヴァルチャーの最後の仕事の妨害に行くわけなんだけど、それをすることで初恋(?)の相手であるリズが不幸になることまで考えが巡らないもんなんだろうか?
話は少し飛躍するけれど、シビル・ウォーではトニーが体制側、キャップが反体制のメタファーという認識でいる。ちなみに、シビル・ウォーではどっちかというとトニーチームに感情移入してみていた。シビル・ウォーでは両者の言い分が激突するわけなので、両チームにそこそこイーブンに描かれていたようにおもうが、今作ではとにかくトニーがイヤなヤツとして描かれているのもあって、結果的に好きな女の子を不幸にしてまで体制に擦り寄るピーターという図になってしまっているのが大きなもやもやポイントだとおもった。
いっそトニーに破門されたピーターが旅に出てキャップチームに鞍替えする方がまだしっくりくる気がするんだけど、そんなことないか。
なにはともあれ、ラストでスコーピオンが登場したりとシニスター・シックスへの準備は着々と整っているのは素直に楽しみだ!アメスパが果たせなかった(今からでも遅くないからやってくんないかなあ…)実写版シニスター・シックスを続編で期待したいところ。その際にはぜひ傑作ウィンター・ソルジャーやシビル・ウォーのような文句なしに参りました〜と頭を垂れるような1本を期待したい。

August 18th, 2017 3:24am 映画 スパイダーマン ホームカミング MCU