ノリでパーフェクト・ブルーをみた(ネタバレ有) - diary.jgs.me
ウィキペッディアであらすじ読んでみたら、ド刺さりの予感がしたので週末にでもみようかなーとおもってたんだけど、気になりすぎたのでノリでみてしまった。
なんじゃあこりゃあ!って感じですよ、もう。僕からしてみたらブラックスワンを日本のアイドル文化に置き換えたようなもので、全く平穏な気持ちでみることはできないとおもってみたけど、すごすぎてうわうわうわ〜〜って叫びながらみるハメになった。
ラスト、一見ハッピーエンドのように受け取れるけれど全くそんなことはなくて、未麻が「あの人のおかげで、今の私があるんです」という言葉に寒気がした。地位だったり名誉だったりなんてのは誰かの犠牲の上にしか成り立たないのだと、そう
アイスピックで刺されるような。そして「私は本物だよ」とサングラスを外すシーンは終盤手前の襲撃シーンよりもよっぽど怖かった。結果的にことの顛末がどうなったのか全く描かれないから、本物とはなんなのか?実はこれも未麻の妄想で本物の本物の未麻は壊れてしまったんじゃないのか?とかとか考えるし多種多様な解釈ができる余地のある映画だとおもった。
そして全編に渡る
アイドルの負の面とでも言うべき部分の描写がエグすぎて、とてもつらかった。アイドルっていう、ギリギリの防波堤みたいなものが決壊すると本当に壊れるのだということがむき出しのまま投げつけられるみたいな。
エグいシーンでいうと、水槽の魚がルアーの魚みたいなやつに入れ替わってるっていうシーンがかなり怖かった。字面にするとなんじゃそらって感じだけど、水槽の魚は未麻の心理状態のメタファーとみることもできて、件のレイプシーンのあとに魚が死んでいるシークエンスのあとに、数匹の魚が泳いでいるところが見てとれるので、本当は死んでおらず妄想だったのではないかと。ところでここは、
バットマンリターンズの
キャットウーマンのあのシーンを連想してしまった。キャットウーマンはここでキャットウーマンとしてのアイデンティティを獲得するが、未麻はどんどん壊れていって画面通りに受けとるのであれば、ルミにアイドルへの未練、自分が抜けたあとに売れ始めたチャムの2人への嫉妬、自分が穢れ仕事をしていることへの羞恥心罪悪感をすべてなすりつけてアイデンティティを取り戻すのだが。
こんなスゲー作品が10年以上昔に作られていたとは。今監督のフィルモグラフィを追おうと決意しました…。
June 5th, 2014 4:47am