ナイトメア・アリー 感想

映画館の予告でデルトロの新作かかってて「あーこれはまたデルトロストライク投げてくるやつやー」と確信して劇場へ
幸いにも(?)原作の小説も映画版(悪魔の往く町)も全く存じてなかったので、ピュアな気持ちで楽しんできた
大きく2パートあって、前半の見世物小屋も後半のアール・デコ調がビシッとキマった都会も(そして恐らくは衣装も)本当に美しくて、パンフを読むと大掛かりなセットを作ったらしくて、それだけで感動した
前作のシェイプ・オブ・ウォーターでも世界が好きで「この世界に浸っていたーい」とおもったものだが、本作でも見世物小屋はおどろおどろしいし、都会は生気がなく息苦しいのに、なぜか魅力的で「ここにいてたいよー」となった
アール・デコ本当にカッコいいとおもう、大金持ちになったら邸宅は絶対アール・デコ調にしたい
ブラッドリー・クーパーといえば、もはやロケットの印象が強いけどアメリカン・スナイパーとかあったよなあ、と思い出した
のっけから死体らしきものを燃やして登場してくるし、インチキスピリチュアルをやってる2人に対する危うげな態度といい、まあ主人公に感情移入しながらみる映画じゃあないんだろうなあと
ルーニー・マーラの雰囲気はシェイプのサリー・ホーキンスの感じとちょっと似てて、こういうのが好きなのかなーとおもった
ケイト・ブランシェットは圧巻だった、彼女との出会いがなければスタンもまた違ったのかもしれないとおもうと...
ところで、モリーが見世物小屋一行を呼び寄せた時に、ジーナはタロットで本当に占っていたんだろうか?なんとなくモリーを気遣って幽霊ショー稼業をやめさせるためにカードを積み込んでたんじゃないかと訝ったが...
スタンがカモられてたことに気付くまで博士の企みに全く気付いてなかったので、あー俺もこうやって騙される時は騙されるんだなってなんかおもってしまった
"絶対" 酒は飲まないんだ、と豪語しながらも酒堕ちしてしまった時点でもう完全に掌で踊らされてたんだよな...
ウィレム・デフォーノーウェイで「半端なカメオなら出ないよ」みたいなことを言ってて株ガン上がりだったけど、本作でも「ああ、こういう団長いそう...丸尾末広作品に出てくるやつ」っていう説得力がすごいあって、獣人の説明してる時点で「あーきっと主人公は最後は獣人になるんだろうなー」と予感させたが案の定...という
このラストについて、パンフでは(サーチライトのパンフ毎回好きだよ!ありがとう!20世紀スタジオはこれを見習ってくれ!)ブラッドリーは「スタンにとって救い」だとインタビューに答えているが、いろんな解釈の余地のある名演だったとおもう
デルトロのインタビューでも白黒版がすげーいいよって話をしてて、実際に白黒版も公開されたりしてるそうなのでぜひみたい
パンフでもオフトーンの写真がいくつか掲載されているが、それをみるだに絶対にイイのが伝わってくる
Fury Road も白黒版すごいよかったのを連想する
時代背景がそれぞれ39年のポーランド侵攻と、41年の真珠湾攻撃あたりなのもなんとも言えない閉塞感というか、切迫感というか、なんかくるものがあった