ターミネーターに見る人間の恐怖の源泉 - diary.jgs.me

Terminator Genisys を見てきた。機械に乗っ取られてしまったジョン・コナーが過去にタイムスリップしてきて母親であるサラ・コナーを殺そうとするっていうタイムパラドックスバリバリな話で、しかも旧式のターミネーターであるシュワちゃんも別の未来?から送り込まれてて、さらにターミネーターのスキンも人間同様に経年劣化するという設定にして老いたシュワちゃんも出れるようにしたっていうかなり力業感のあるつくりだったが、いろいろやらかしてきた感のある3作目、4作目の内容もそれなりに回収していて単にリブートするよりは難度の高いことをしていたようにおもう。あと旧作へのオマージュも相当あって、それらに気付く度にニヤニヤしちゃうっていう旧作への愛が感じられる作品で良かった。
出てくる敵のターミネーターは恐らく次回作への布石となる液体型(やはり2のあの恐怖は格別だよね。3のメチャ強いT-Xも好きだけど)と粒子型のジョン・コナーで、旧式然としたシュワちゃんがそれらのハイテク野郎たちと対峙するというアツい展開でアガった。
それ以上に興味深かったのがこれまでの作品ではターミネーターの親方程度にしか描かれてこなかったスカイネット(今作ではジェネシスという名前になっている)により恐怖を掻き立てられるような見せ方をしていたところのようにおもう。ディープラーニング全盛のこのご時世、テクノロジーに疎いひとにとってはこういったテクノロジーはとてつもない脅威に感じてしまうのだろう。かつても電子レンジの普及期には電子レンジが恐怖の対象だったというし、未知の技術、生物に対して本能的に恐怖を感じる、というのはあるとおもう。時分はそれなりに原理を知っているし(といっても概念をなんとなく知っているだけだが…)そこまで恐怖は感じないし、技術に対して楽観的というスタンスでもあるのでここらへんにはあまりノれなかったが、製作陣は実はスカイネット自体も恐怖の対象として成立し得ると考えたんだろう。旧作は基本的に思考する機械が襲ってくることが恐怖として描かれていたのが、スカイネットも恐怖として描かれているのがターミネーターのシリーズの長さを象徴してるといえるだろう。

August 24th, 2015 1:31am