シン・仮面ライダー 感想 (ネタバレあり)

シン・仮面ライダー 感想 (ネタバレあり)
ゴジラは本多猪四郎版をシン製作が決まる前から既にみていたし、ウルトラマンも昭和ウルトラを VHS で散々みてきて、ティガ直撃世代なのでちゃんとターゲットの客層として劇場へ行ったのだった
一方ライダーは、クウガ世代でアギト龍騎555Wドライブらへんの平成ライダーはモロなんだけど、実は昭和ライダーは全く知らなくて、馬鹿力で「アーーーーマーーーーゾ〜〜〜〜〜〜ン!!!」だけ知ってる、みたいな、そういう温度感で
付け焼き刃でオリジナルみとこうかなあ、とおもったけど、シリーズ長いし直撃の諸先輩方には到底敵わないので、丸腰で行ってどうみえるかってのをやるか〜と
全体の印象としては、前半と後半で感じ方がかなり違う映画だった
前半はもう浜辺美波大先生のルリコさんが全てで、予告でもハマり役感を確信していたが、シンゴジ石原さとみシンウルトラ長澤まさみに通づるイイバディ感があった
ところで、エンドロールみて長澤まさみ出てたの....?え....?もしかしてサソリオーグ...??っておもってたらそうだったのでいい人だなあと...
はっちゃけてて楽しそうだった
西野七瀬のハチオーグも結構よかった
「アララ...」
相変わらず博士をやってくれる塚本晋也、またしても登場する竹野内豊、しかも斎藤工もここのレギュラーに入ってて笑ったし、市川実日子も続投で笑ってしまう
キャラ造形がありがち(それこそ綾波レイみたいな)だけど、浜辺美波パワーで形になってる!!みたいな
シンウルトラにつづいて、また匂いフェチシーンあったけど、なんなの!?!?
シンゴジマクガフィンゴジラだけで(正確には終盤に列車爆弾みたいなバカっぽいのもあるけど)、ストレートなディザスタームービーとして作れたのに対して、シンウルトラでごちゃごちゃ設定が多すぎてわかりにくかったのと同じく、本作でもショッカーの組織像や、プラーナ?などごちゃごちゃしててわかりにくい
それに加えてオリジナルがシリーズものなので、どうしてもそれらの素材を活かそうとするとまとまりがない感じがしてしまうとおもった
シンウルトラはいろいろどうしようもない(元ネタもわかるだけに)とおもうけど、本作はキル・ビルぽいつくりだったらもっと面白かっただろうなーと帰り道に考えた
のっけからスラッシャー映画もびっくりなぐらい血糊がブシャー!ドバー!!で、なるほどこれでPG12なんだなと(おもわず苦笑)
確かに、ウルトラマンは肉弾戦をしていてもあんまり血反吐を吐きながら戦うイメージは湧かないけど、仮面ライダーって等身大のヒトがマスクをかぶってるだけなんだったらそういうバイオレントな表現も合うなあと
だから、前半はそういう暴力の痛々しさみたいなのが伝わるバイオレントぶりでよかっただけに、蝶オーグ戦の前にCGのにせ仮面ライダー軍団とのチープな戦いはとても残念だった
西野七瀬はかつての栗山千明みたいに肉弾戦仕掛けてきてほしかったなあ
あと、2号との戦いもCGファイトになっちゃったのがなあ...
幹部たちを倒していくっていう流れもまた
肉体的にボロボロになりながら蝶オーグのとこまで行って五点掌爆心拳....じゃなかった、ライダーキックでさあ
中盤で2号が登場してきて、うっすら知識で2号ってのがいるらしいってのは知ってたので、んーなんかそういうオリジナルへのリスペクトのために登場人物を増やさなくても.....と微妙な気分になったんだが、終盤で本郷猛に何かを託されて受け継いでいくっていう展開にもってこられて、メタ的に仮面ライダーっていうシリーズが脈々とセンパイたちから受け継いできたことへの讃歌なのかなと受け取った
ただまあ、冷静に考えると緑川博士の狂気に巻き込まれて肉体を(おそらく同意もなく)改造された本郷猛って不憫すぎるし、それは一文字隼人もそうなんだよな....
尺に余裕がなかったのかわからんが、この一文字というキャラクターはそもそも劇中での掘り下げがイマイチで、ジャーナリストらしく政府機関とはつるみませんよとすごんでみせる割には、ラストでちゃっかり政府機関のエージェントとしてカルト集団に鉄拳制裁をしますよってオチになってて、それでよかったのか?と
竹野内豊率いる政府機関の能力もよくわかんなくて、独力でサソリオーグを倒して、しかもそっからちゃっかりと武器製造までこぎつけてるわけで、そこまでできるんだったらわざわざ民間の協力を仰がなくても事が済むのでは....?とか
ヘルメットが1+2号になってたのはエヴァの2+8号機をモロに連想したが
ぶっちゃけ全部緑川家の家族喧嘩に巻き込まれただけ、みたいな
父と子の喧嘩であり、兄妹の喧嘩でもあり
父子喧嘩に全世界が巻き込まれるって構造はエヴァと一緒だよなあ
自分が本郷猛の立場だったらとてもルリコのために親身を尽くそう!なんて気持ちにはなれねーよ
後半はなんかずっと画面が暗くて予算尽きたんかな...みたいな....
イマイチ設定を飲み込めてはないんだけど、ショッカーという組織を描く時に単に悪の組織っていうか、世界征服を目論んでいて...みたいな組織じゃなくて、みんなを幸福にしたいんだと、どこぞかのカルトじみた教義になってたのは俊逸だったかなあ
2号を洗脳するに際しても、不幸な記憶を封じることで幸福になるんだ、と
幸と辛は線1本の差しかないんだ、ということは何度も語られる
洗脳を解くということは、現実を受け入れるということで、それは苦しいことなんだと
全体善として?社会的善として?公の幸福を最大化しようってタスクじゃなくて、すげー苦しい人を救済することが善なのだ、みたいな、そういうこと?(わかってない)
あと、IとJとKのくだりも結局最後の最後まで特段なんの解決もなくて、単に続編へつなげたいというスケベ心だったのか、オチをつけられなくなってしまったのか、よくわからないけど....
まあ、お陰でのみこみにくくはなってしまっているのだが......
あとは本郷父が力を行使できるのにしなかったのは覚悟が云々というのも、結局身を挺して何かをするということが覚悟を持った人間であるって着地だったのかなあ?
さもいいことげに父は最期まで人質と犯人のことを気にして...みたいに言われてたけど、じゃあ残された家族は?って話は蝶オーグの問いかけにつながってくるんだとおもう