カナザワ映画祭2014へ行ってきました - blog.jgs.me

今年もカナザワへ行ってきました。僕は今年で6回目の参加です。初参加したのがまだ高専生の頃で、なけなしのバイト代をはたいてみに行ったり、金欠すぎて野宿をしたりして乗り切ったりといろいろありました。
今年は「素直にいきます」とのことで、テーマは「爆音」。そりゃ爆音でみたら楽しいだろうな!っていうラインナップで、ガッツリ参加してきました。カナザワは、眠いのかどうかもわからない朦朧とした意識の中で爆音で映像を叩き込まれるのが最高だとおもっているので、ほぼ寝ずに全部みてきました。
以下感想です。


この映画は、父親が好きな映画でそのうちみたいなー、なんておもっているうちにカナザワで上映されることになった作品。とにかく終始司令官が無能で、アタフタしてるうちに現場ではどんどん死体が増えていく、みたいな最悪な感じでつらかった。その最たるは、二機目の墜落したブラックホークの救助に向かうため、兵士が志願してきたので司令官が「一旦オレが話す」みたいなこと言っておいて、いざ話したあとは自分で決めるわけではなく「じゃああとは任すわ」みたいな態度だったシーン。やっぱ戦争は指揮系統がしっかりしてないといけないな、と改めておもいました。山のように爆音で銃弾が飛び交い、手榴弾が炸裂。ワラワラとやってくる敵の民兵たちの怖さといったら。

実はマッドマックスを一度もみたことがなくて、ブラックホーク同様「いつかみたいなあ」なんておもっていたら爆音でかかることになって嬉しかったやつ。あと「もうだめだ、女は信じられない!ヒューマンガス様最高!」でおなじみの映画「ベルフラワー」で先にヒューマンガス様を偉大さを口説かれていたのでどんなキャラクターなのかとずっと気になっていたり。結論からいうとヒューマンガス様はハゲのボンテージのオッサンだった。声はカッコよかった。世紀末といったらコレだろ、みたいな衣装とかクルマがよかった。

Uボートもみたことなくて、爆音でみれて楽しかったです。Uボートの艦内のあの狭くてじめじめしてて鬱屈とした雰囲気が息苦しかったし、ソナーの「ポーン….ポーン….」って反響音のドキドキ感も爆音で増していて、アトラクションのようであった。この映画はなんといっても最後がひどくて、ジブラルタル英軍に空爆されて、一度は海底に沈没してしまった後に全員で協力してなんとか浮上し、帰港できて「やれやれよかった、一時はどうなるかとおもったぜ、ふぅ…」などと気を抜いていると突然英軍の爆撃機が現れて帰港セレモニーを滅茶苦茶に破壊するわUボートは撃沈するわクルーはみんな死んじゃうわで盛大な不意打ちを真で受けてかなりのダメージを負った。こんな後味悪い映画は「ミスト」以来だよ!もう!時系列的にはミストの方が後だけど!!Uボートが瀕死の艦長を前にゴポゴポ…って静かに沈んでいくのマジ最悪だったよ!!!鬼畜英軍!チャーチルめ!!ってなったぞ!!でもこれが戦争なんだね…ふぅ。Uボートが浮上したり潜航したり、荒れる海で艦橋から外を警戒するシーンが何度も何度も何度も出てきて食傷気味だった、もうちょっとアレを削ればもうちょい短くなるんじゃないかっておもったよ…。こちらもブラックホーク同様に指令系統が雑っぽい感じで描かれていて、やっぱり指令系統がしっかりしてねえとダメだなってなる映画でした。史実でも、連合国の艦隊を大西洋に引きつけるためだけに何隻ものUボートが帰ることなく送り込まれていたそうだし戦争つらい。

こちら、版権の都合で急遽上映中止が決まって最悪でした!!!!日本の権利持ってる連中マジ最悪だな!!!!!ツイッターで検索してみると衛星放送でやってたりするらしい?んだけど、権利関係めんどくさいなあと改めておもいました。

期待の新人オールナイト
初日の夜は、23時から翌朝まで新人の自主制作映画を一気見するオールナイトが催されました。旧作だとあんまりネタバレも気にせずに感想書けるので楽なんだけど、これからかかる(かも)作品はあんまりネタバレするのもアレだとおもうのでがんばってなるべくないように書きます。

途中から志向がガラッと変わる、かつてカナザワで上映された「へんげ」を連想するような「あ、コレそういう映画だったのか!」型映画。しかもモチーフがギスギスした女子高生アンドレズビアン!!それだけでめっちゃ最高なんだけど、もうひとつ僕の好きなモチーフも入っていて最高でした。映像も綺麗だし、出てる女の子たちもかわいいし、説得力があったし良かった。もうあと一声ぐらい物語的なつくりがあると今年ベストなんじゃないかというぐらいの作品でした。

ヤンキーががんばって映画つくったぜオラァ!みたいなすごく無骨な映画でよかったです。「ヒーローショー」っぽいとおもいました。ヤンキー、カーチャンには弱いんだよね。審査員賞みたいなやつを受賞されていました。

高校生の監督が、奥さんのかさぶたを食べる夫婦の映画を撮ったっていうふれこみで結構期待してた。実際かさぶたを食べるところは倒錯的なエロスがあってよかったとおもいました。

観客賞をとった作品で、とてもクオリティの高いSFチックなアクション映画でとてもよかった。南海トラフ巨大地震が発生し、それをきっかけに恐慌も発生して形成されたスラムでの男二人女一人の三角関係的な、それでいて清々しくもあり、アクションもありで自主制作とはおもえないクオリティの高さだった。音楽がすごい良くて、途中でかかるラジオの曲のセンスもいいし、裏でかかる音楽も映像を引き立てていてよかったし、最後のアレも物語とシンクロして目から水出たね。あと、主人公二人がとあることを準備するときのシーンがこれも音楽と合ったミュージックビデオみたいなスタイリッシュな映像で激アガりだった。卒業制作らしいんだけど、ぜひとも広く公開されるといいなあとおもいました。

この映画はみるひとを完全に置いていくぶっとび映画で、オールナイト最後にもってきてるのは主催の悪意なんじゃないかという気がした。よくまあここまで地雷っぽい女の人(褒めてる)を集められたなあ、という謎の感動がありました。

二日目は、半分がバーホーベンで半分がキューブリックっていう激しいラインナップでした。まずはバーホーベンから。この作品は、モトクロス好きの仲良し三人組が悪女によって引っ掻き回されて挙句の果てには死亡1ホモ化1というオタサーの姫もサークラ女もびっくりのクラッシャーぶりがみれて面白かったです。ちなみに、ホモ化1の方は悪女の兄によって開眼させられるんだけど、それを兄貴が妹に告白するときに「ああアイツならオレが犯してホモにしといたぜ」って軽いテンションだったのがめっちゃ面白かった。仲良し三人組がチンポの長さを測って競うシーンがあったり、めちゃめちゃ淡白な早漏セックスがあったりとかなりなんでもありですごい映画でした。内容的には結構重いというか、キツいのにそれをサラッと面白く描いてるギャップがなんとも面白かったです。

こちらもスペッターズ同様むちゃくちゃなんだけど、こっちは傭兵団みたいな連中がひたすらに爆音下品でだいぶ不快でした。中世っぽい感じもいまいち合わなかったです。

爆音不快でいうと、こっちもかなりの爆音不快な映画。話は単純で、「遠く離れた宇宙からデカい虫どもが戦争をしかけてきた!虫キメェ!乗り込んでぶっ殺すぞ!!」っていう。こういう内容だから死ぬほど虫が出てきて死ぬほど人間が殺されて虫も死ぬんだけど、容赦なくゴアい胴体切断とか出てくるし、虫も撃たれまくったらビシャビシャ汁出るしぬめぬめして気持ち悪かったです。次々と昇格していく主人公はご都合主義っぽくもあるんだけど、なにぶん話が話なのでこれぐらいでいいのかもなあとおもった。

ここからがキューブリックのターン。この映画は以前見たことあるような、ないような、ぐらいの感じ。意図的に物語的なカタルシスが排除されているような映画で、ハートマン軍曹のシゴキあたりは楽しくみれるんだけど、ベトナム行ってからがずっとグズグズ戦争してるみたいな感じでキツかった。

言わずと知れた「Here’s Johnny!」である。シャイニングをみるのはもう何度めか分からないぐらいなんだけど、爆音でみると高音の不協和音みたいなやつがめちゃくちゃ耳をつんざいて嫌がらせされてるのかとおもうほどだった。ホテルの怪異と、気の触れたジャック・ニコルソンと。ジャックは気が触れれば触れるほどカッコよくなるなあ、と今回みてておもった。バットマンのときにもそうなんだけど、気が触れるほどカッコいいんだよね、ジャック・ニコルソン。子役の子もトニーとの会話とか「REDRUM! REDRUM!」とか名演だとおもった。もちろん奥さん役のひともそうで、歯切れ悪い感じで話したりとか、怖がる顔とかが絶妙。一緒にみにいった父に原作本を借りたので読もうとおもっています。
主催は口ぐせのように「来年あるかどうか分からないですけど」と話されてましたけど、来年も開催されるのを期待しております。それから、今年は初めてサポーターとして参加したのですが、サポーターだとスッと会場に入れて好きな席にシュタッと座れるので最高だなとおもいました。来年開催されれば、新幹線も開通していて新幹線でひと息に行けるのでそれも楽しみだったりします。

September 27th, 2014 11:23am