エターナルズ 感想
今年も今年で、そんなたくさん映画みれているわけではないけれど、ちょっともう頭ひとつふたつくらい抜けた素晴らしい映画だった
上映時間が例によって長くて辟易していたが(ちょうど同時期に公開されている
すみっコぐらしを2周してもまだエターナルズが終わってないという)体感90分くらいだった
強いて言うならアマゾンに移動してからで
ディヴィアンツが襲撃してくるあたりまでが少し眠かった
ノマドランドでもそうだったけど、単純に画が美しくてエターナルズの面々の気持ちで世界が見えた
セレスチャルズとかエターナルズとかの原作はそんなに存じてなかったのだけど、いかにも
ジャック・カービーらしいというか、大変コズミックなバックグラウンドがあるのに、ドラマとしては群像劇でややこしい三角関係がもつれてるだけっていう
ビジュアルとしては
ストレンジに若干似てるところはあったけど、線が主体の幾何学的な造形はとにかく美しくて、太古から「いた」存在という説得力があった
キャラクターの能力は、割とどこかで見たことのあるものばかりで、恐らく特異な
能力バトルを描くというよりは
人間ドラマの方に力点を置きたかったのでは?とおもった
セレスチャルズ(本作ではほぼ
エリシェムだけだけど)の描き方は、スクリーン一杯にドカーンと顔が現れて、そこに小さい人間が独りいる、というのがデカさを表現する見せ方として結構新鮮だった
巨人みたいなのってSFをはじめいろいろあるけど、やっぱ対比として見せるのがデカさを感じられてイイ
対するディヴィアンツもそこそこ見覚えのある雰囲気の獣たちで、新味はなし
ドラマパートに関しては大満足で、公開前は(特に
シビルウォーくらいまで)これまで慎重にキャラクターを足してきたMCUに、こんなに一気に何人も足しちゃって大丈夫?と心配していたけど杞憂だった
なんと言っても、俺たちの
マ・ドンソクアニキがずっとチャーミングで最高!クレジットでは
ドン・リーになっててびっくりした、英語圏ではその名前でやっているんだな
おっかな怖い、少し浮世離れしたセナ役の
アンジー姐さんとのコンビもバッチリだった
一番驚いたかもしれないのは、スプライト役の
リア・マクヒューさんという子役?で、なんとも言えない中性的な顔立ちや立ち振る舞いもあって、てっきり男性だとおもってたんだが(冒頭のバーは女性に化けて遊んでるだけかと)女性で、7000年生きてきてやさぐれて、成長に焦がれて、
イカリスに焦がれて、
セルシに嫉妬して...と非常に複雑な役を飄々とこなしていてすごいなと
子役のハンドリングが上手い監督の映画は大抵面白いジンクスがある(勝手に)けど、
クロエ・ジャオ氏もその系譜なのかも
一方のイカリスは完全に
ホームランダーで、終盤の展開は絶対そうなるだろうなとおもっていた
そのイカリスをマッチョ的に慕う
キンゴは憎めない奴だけど、最後の戦いには不参加だったりで、現実の自分てこんな感じなんだろうな...となんとなくおもった
とまあ、全体的に全然ビガップなんだけど、とはいえコズミックなストーリーは結構気になるところが多いというか、ツッコミどころ、粗はめちゃめちゃあるよねってのはまあ...
そもそものそもそも、セレスチャルズが
知的生命体を餌にすくすく育って、最終的に星をぶち破って出てくるって設定がイマイチ飲み込めなくて、そもそも知的って?どこからが "知的" な生命体でどこからが "知的でない" 生命体なの?っていう
なんつーか、エターナルズ的な存在が "知的" でディヴィアンツ的な存在が "知的ではない" 存在なのかもしれないけど、それがなんとも言えない自分を含めた人類の思い上がりな感じがしてしまって受け付けない
ディヴィアンツはエターナルから能力を吸収して知性らしきものを覗かせていたが
だいたい、そんなに誕生が大変なんだったら最初のセレスチャルはどうやって誕生したわけ?とか
エイジャックって所謂中間管理職的な存在だったとおもうんだけど、嘘をついて部下を従えてるってのはちょっと上司としてどうかとおもうなーとなってしまった、少なくとも俺はこういう情報共有が少ない上司は嫌い
エシュリムもディヴィアンツとエターナルズを創り出したって云うけど、こんな "人間的" である必要あります?俺がエシュリムだったらきっちり
アルゴリズム組んで送り出すけどなー
劇中でスプライトが「なぜ子供の姿で創り出したんだ?」と問いかけるけど、まさに同意で餌になる "知的" 生命体を育みたいだけだったら
ウルトロンみたいな感じでいいんじゃね?と
飛べるのはイカリスだけだから
メソポタミアは守れても、同時に
黄河が襲われたらどうするん...?とか
知的生命体を殖やすって目的なんだったらディヴィアンツ以外も手出しした方がよくない?実際
サノスの到来によって誕生が遅らされたわけだし....
まあ、コズミックなタイムスケールだと大した問題じゃないって話なんだろうか?
終盤、セレスチャルを目覚めさせるか殺す?かの2択だったとおもうんだけど、俺がエターナルズだったらこんな血みどろのクソみたいな星はさっさと吹っ飛ばして(
マッカリや
ドルイグに近い)次の生命体に襷を渡そうよっておもっちゃうな
15,6世紀?あたりに解散して、その後いろんな国の内戦だとか、
WWIや
WWIIがあって、尚我らに愛着が持てるので...?と
実際、誕生するかもしれない数多の生命を "誕生させないようにする" ことについてセルシが逡巡するけど、これは人工中絶の問題に近しいものなのではないか?とおもう
なんか鶏卵を食べる時にいつもおもう、産まれるはずだった鶏を殺しているも同然なのではないか?と
まあ、じゃあ生きてる豚や牛や鶏の命は奪ってもいいんですかっていうとそれも大きくうなずくことはできないが...
なんやかんや言ってもすげー楽しかったし、
ヴィレッジブックスさまが邦訳コミックを出してくれているので(カービーのではないけど)とりあえず買った
全然原作知らん民だったので、全部わからんくて上映後にすぐ鬼調べしてしまった