ウォーム・ボディーズ - diary.jgs.me

いま上映中の「ウォーム・ボディーズ」がとても面白かった。自分の観測圏内で結構評判よかったし、予告編でグッときたのでいろいろ無理してみにいってきた。例によってネタバレ込み込みです。
予告編からしてここ数年ちょいちょい見かけるカウンター映画だとおもってみにいったのですわ。ヴァンパイアカウンターの「フライトナイト」とか。全編に渡って主人公のゾンビ「R」の自分語りによって展開していくんだけど、これがうまくコミュニケーションとりたいけどとれない俺たちを表現してて良かった。ゾンビじゃなくたって好きな女の子に好きっていう気持ちを伝えるのはすごく難しいし、楽しませるのも難しいよな。序盤はそうやってコメディ的な要素をふんだんに詰め込みつつ二人の交流を描く。ちなみに、Rとサンゲリアのパッケージ(カナザワでみれなかった…)を比較するシーンは笑った。
そして第二幕の惹かれ合う二人パートもこれまたやきもきさせる感じでとてもよかった。そこからの元恋人を食べちゃったことを正直に告白するR、それを聞いて離れてしまうジュリー。そして元恋人の記憶を頼りにジュリーを追って人間たちの住む壁の中に侵入して会いに行くのはド王道の恋愛映画ですわな。そしてお決まりとでも言うようにデカい豪邸のバルコニーから登場するジュリーに階下から声をかけるR!ロミオとジュリエットかよ!そしてゾンビに変化(体温をもちはじめてきている)が起きていることを人類の司令官であるジュリー父へ伝えにいくんだけど、やっぱりお父さんにはリジェクトされるわけです。そしてここから恋人のお父さんに認められる話になっていく!アツい!
そして第三幕ではガイコツと人類に追われる二人、全世界を敵に(ゾンビたちはやさしいが)まわす逃避行!ヤバい!暗いスタジアムの中の追いかけっこからの朝陽の中に飛び出すところのカタルシスよ!ゾンビカウンター映画の皮をかぶった純愛映画じゃねーか!もう!サイコー!
ただまあ、ゾンビ映画にガイコツっていうクリーチャーを出すのはちょっとズルいとおもった。いかんともしがたい他者を出して、その他者に対して敵対しあっていた二者が結託することで打ち解けるというのはちょっとどうかなあという気はした。やはり人類というのは共通敵がいないと結託できないのだろうか?いや、そうじゃないとおもう。おもいたい。でもまあ、そういうテーマはこの映画の主旨ではないだろうし、ウォッチメンたちにまかせておけばいい。
とにかくこの映画はコメディ映画としても純愛映画としてもサイコーなんだ。帰ってから調べてみると、「50/50」の監督・ジョナサン・レヴィンさんの新作だったようでなるほど納得した。そういえば、50/50もサエないオトコが癌にかかって医者と仲良くなったりする話だった。この監督は、オトコに決定的な何かが起きて(ウォームではゾンビ化)そこから再起する映画がとても上手いんだろうなあ。そして、映画でもよくある身分違い、世界違いの恋愛を描くのがとても上手い。次回作も楽しみです。

September 29th, 2013 2:24pm