インフィニティ・プール 感想 (ネタバレあり)

インフィニティ・プール 感想 (ネタバレあり)
オカルトを語らう会で(どんな会?)「こう、自己というか意識というかが、悪い意味での終わりがなく保存されるのが一番怖い、ブラックホールに落ち続けるみたいな...」という自己開示をしたら「おぉ!ちょうどそれっぽい映画が今やってますよ、インフィニティ・プールってやつなんですけど」と言われて「それじゃあ行きやしょう、と」
帰ってきてから「あぁ〜ミア・ゴスにクローネンバーグの息子に、なるほどねェ...」となった
そういうわけで、予告をみるでもなく、誘われるがままに映画をみにいくってのを久々にやった
とはいえ、一番怖いものっぽい映画やってるよ!は最大級のキャッチフレーズっぽいが
さて、みてみると、リゾート島に売れない三文作家夫婦(妻の父が出版社をやっていて裕福)がやってきて、島では故意の有無にも関わらず人を死なせてしまったら殺された人の息子によって死刑!ってのが風習なんだけど、金持ちは身代わりのクローンを作成することで、自分のクローンに代わりに殺されてもらうことで免罪されるという制度になっていて、金持ちたちがハッパやって銃を片手に乱痴気騒ぎをしていて....という話で
個人的には、なぜこの島でクローン技術が発達しているのか?とか、中盤でチラッと触れられる「自分とクローンがもう入れ替わっているのでは?自分という存在の連続性とは?」みたいな話をもうちょい深入りしてほしかったんだけど、そういう方向ではなくミア・ゴスというファム・ファタルに堕ちていく男という方面にいっちゃって、これはこれで好物なのでよかったけど.....膝を打って「う〜ん!面白い!」というテンションにはならなかった
特に好きだったのは、全裸で首輪をされてリードでミア・ゴスに犬みたいに扱われてる自分が登場するところかな
絶対我が身には起きてほしくないけど
あとは脅されて追い立てられてる時に「てめえの本読んだとおもった?バーカ読んでねーよ、はい、ここで悪評レビュー読み上げま〜す」されるとことか
モノを作る人にとって最悪の仕打ちをよくわかってるなあと
農場に逃げ込んで、自分よりも前に逃走してきた自分と同じように金持ち連中のオモチャにさせられてきた男たちと合流するとか、島民は実はみんなクローンで生殖していた....とか、そういう SF チックな展開を期待したのだが
自分のクローンを殴り殺してミア・ゴスに「は〜い、よくできまちたね〜、オッパイでちゅよ〜」されるのは完堕ち感があって良かった(?)といえば良かったけども
なんならあそこでエンドロールでも良かったとおもうけどなあ、最後のくだりは蛇足に感じた
帰り道に「あそこで建築家のオッサンの脚が治ってたら怖くない?もう倫理観がそこまでイっちゃってるんだってのがわかるし」的な話を聞いて確かになあ、とおもったりした
とか「ジェームスがホテルの部屋に帰ってきたらもう骨壺が結構たくさんあるとかさあ」という話をしたりした
人体損壊描写はバシバシ出てくるけど、割と幻視寄りなことが多くてそこは残念だった
クローンを作るためのスキャンシーンはかな〜りイヤ〜な感じで良かったけども
なんかこう、乳首っぽいところから粘液が出てきたり、人が割れる時にやおら糸引く感じで割れたりするのが素朴にヤダなあという
ソドムの市の終盤みたく、自分たちのクローンをガンガン作ってガンガン殺して倫理観が終わっていく血みどろ展開でも良かったけどなあ(サイコみのある感想)