きのこを刻みながら、ハプスブルク大帝国数百年の歴史を感じる|岡根谷実里 | 世界の台所探検家|note

オーストリア料理に複雑なものはないよ。なぜなら、ハプスブルク家の衰退とともに宮廷料理も衰退して、市民階級のものへとなっていったから。今の時代に残っているオーストリア料理は、決してハプスブルク家の"宮廷料理"ではなく、市民階級の"人々の料理"なんだよ。それに勢いのあった時代だって、ずっとフランスのまねをしつつフランスには及ばぬ帝国だったんだ

料理の歴史秘話を知ると、自分が今きのこを切っているたったそれだけの行為すらも、600年の歴史を引き継いだ尊いことのように思えてきて、なんだかとても誇らしく思えてくる